優秀の優
なのはな園のみんなで、大きな紙いっぱいに
「優」という字を描きました。
園の今年のテーマは、「優」(やさしい)に決まり、
夏祭りの舞台に飾るためです。
私は、「優」という字は、やさしいというより、
優秀の優、他のものより一段とまさっているというイメージがあり、あまり好きではありませんでした。
画数も多く、みんなで描くには難しい字を
なんで選んだのだろうと思いました。
人が憂うと書く
夫が、縦、横、1.5メートルくらいの大きな模造紙に
みんなで描くためのデザインを考えながら、
「優という字は、人が憂うと書くんだね、びっくり!」
と言いました。
「憂」の意味は、
思い悩む、心配する、心が晴れない
と書かれていました。
私が感じていた、才能があり、思いどうりに生きていて、
悩みとは無縁の状態とはむしろ反対に、
人が思い悩むことが、やさしさであり、
まさっていることだと表していたのです。 |
永遠回帰
ニーチェの『永遠回帰』という言葉も、
最近知って考えさせられました。
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私は、悩みから解放されるために生きていて、
悩みが無い状態が幸せなのだと思っていました。
でもその考えが間違っているのかもしれないと、
「永遠回帰」の意味を調べて思うようになりました。
『ブリタニカ』によると、
「永遠回帰」とは、
生の各瞬間はもはや単に過ぎ行く現象ではなく、
無限回も生起し、回帰するがゆえに永遠の価値をもつ。
彼岸の生活などに希望を託さず、
その一切の喜びや苦悩とともに
現実の生を英雄的に肯定するという立場から説かれる。
と書いてありました。
悩みはどこまでいっても永久に無くならないけれど、
悩みとどう向かい合うのかを問われている。
というのです。
悩むことの重要性
『優』の字の意味と共通するように思いました。
どちらも、悩みがあり、それを受け入れ、
取り組むことの大切さを表した言葉だと思います。
解決するかどうかは関係ないのです。
例えば、人生としては悲劇で問題が解決されずに終わっても、
悩むことから逃げなかった人は魅力があります。
なのはな園の人が選んだ
『優』という字と『やさしい』という言葉は、
意味を改めて知って大好きな字になりました。 |
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