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エッセイ T

essay
イラスト 鈴木英すけ
エッセイ 鈴木けいと
イラスト 鈴木英すけ
 

母の布

79歳の母との電話で、
「もう年で洋裁はできない、使わない布がたくさんあって
整理したいからいらない?」
と、聞かれました。
 
私は即座に
「いらない。縫い物は面倒だから」
と、答えました。
 
電話を切った後、夫に話すと、
夫は「送ってもらおうよ。
いわゆる布で作るオーソドックスなものは僕にはできないけれど、
ゴミとして捨てられてしまうものなら、
布を使ってどんなものができるのか試してみたい」
と、言いました。
 
早速電話しました。
 
宅急便やさんが配達に来て、
「誰か引っ越してくるんですか?」
と、聞きました。
 
なんと、大きなダンボール箱が8箱もあったからです。
ダンボールの布 イラスト 鈴木英すけ
 
母に電話をすると、
「全部送ったよ、8箱もあるというと
『そんなにいらないよ』と断わられると思ったから
聞かずに送った」
と、言いました。
 
ダンボール箱を開けると、
私たちが子供のころの洋服や小物を作った見覚えのある生地が
次々と出てきました。
 
昔のウールなどの生地は
「チクチクして嫌だ」と、文句を言いました。
 
母は買い物に行くと必ず生地やさんに寄って
ハギレを買っていました。
 
できるだけ安く作るのが自慢で、
布で出来るものは何でも作りました。
 
パンツや制服も作りました。
 
私たちは高校を卒業するころには、
母の作った服より、既製品のジーパンやTシャツを着たがり、
喜ばなくなりました。
 
そのあとも買い続けたのでしょう。
 
50年以上の年月と溜め込んだ異様な量の生地から、
母がどんな思いで暮らしていたのかが匂ってきました。
 
結婚して、知り合いのいない土地で、
子供と帰りの遅い父と暮らす
母の寂しさを紛らわすものだったのでしょうか?
 
夫のアップリケ作品は、その母の溜めたハギレを
できるだけ全部生かそうとしているものです。
▲ エッセイ もくじ

目玉焼き

最近、目玉焼きをしようとおもう時は、
夫に「目玉焼き焼いてくれる?」と頼みます。
 
私が今まで焼いていた目玉焼きは、
水を入れて蓋をし弱火で蒸す、
しっとりしたきれいな目玉焼きでした。
 
あるとき、夫に焼いてもらった目玉焼きは、
表面をこがしてからひっくり返して又こげめをつけるから、
見た目は悪いけどバリバリ歯ごたえがあって、
中はトローリとした半熟でした。
バリバリの目玉焼き イラスト 鈴木英すけ
 
この目玉焼きを食べたとき、
「あー 私は、今まで40年も目玉焼きを焼いてきたのに、
なんでこういう目玉焼きを焼かなかったんだろうー
私はバリバリしたものが好きだし、
この目玉焼きを食べてきたかった!」
と、強く後悔しました。
 
料理は私の担当であり、
夫は料理のことは知らないから夫に任せたら変になると、
思い込んでいました。
 
こんなに美味しいと思いませんでした。
 
ものすごい損をしたと思いました。
 
私も夫のように焼いてみましたが、
夫ほどバリバリでインパクトがある目玉焼きができませんでした。
 
だから、毎回、目玉焼きは夫に頼んでいます。
▲ エッセイ もくじ

普通の携帯電話に変わる

2年前に島に帰るとき、置き電話から携帯電話に変えました。
 
それは普通の携帯電話より大きく、メールが打てず、
オープン通話でスピーカーから相手の声が
ラジオのように聞こえるものでした。
 
その変わった電話は、私たちにとってはとても便利だったのです。
 
たとえば、娘から電話があれば、二人で聞き、
電話に向かって夫も私も話し、3人で会話ができるのです。
 
電話のたびに「○○さんから、こんな話だったよ」と、
かいつまんで伝える必要がなくなりました。
 
なんだか不思議な感じがしました。
 
電話とは、
聞いている人だけにしか聞こえない秘密めいたものだったと、
初めて気がつきました。
 
そのような変わった電話であることは娘しか知りません。
 
家に電話をかけてくる人は、電話に出た人だけにしゃべり、
他の人に聞こえているとは思っていません。
 
そのことはちょっと申し訳なく思いましたが、
二人で聞いて悪い内容のことはありませんでした。
 
でも外や第三者がいるところでは困ったことになります。
 
友人の家に携帯電話を持って行ったとき、
娘から電話があり出ると
「お母さん、あのねー」という大きな声が、友人にも聞こえ、
慌てて「今、友達の家だから後でかけなおすから」と、言ったり、
 
休んだ先生の代わりに保育園にいるとき、
電話が鳴り「これから、よもぎ取りにいかない?」
という声がスピーカーから聞こえてしまうのです。
 
でも、ほとんど家にいる私たちにとっては、
二人で一緒に聞いて相談できることに安心感を感じていました。
携帯電話 イラスト 鈴木英すけ
 
ところが、2年で契約の条件が変わることをきっかけに、
普通の携帯電話に変えることにしました。
 
コンパクトで、メールが打て、
写真もデータも送信できる普通の携帯電話に変わったことが、
娘との関係や夫との関係が変化することに不安を感じます。
 
でも、携帯電話が変わったことが、
夫がホームページを作るきっかけになりました。
 
このようにコミュニュケーションツールの進化によって、
知らず知らず関係も考えかたも変わっていくのでしょうか?
 
追伸
 
前の機種ほどではありませんが、新しい携帯でも、
オープン通話ができることが判明しました。
ホッ。
▲ エッセイ もくじ

辛いカレーの注意点

今まで、カレーは夫の好みの甘口をベースに
大人用に中辛をちょっと足して作っていましたが、
甘口がきれてしまったので、
娘から送られた中辛だけで作ったら、
異様にピリピリヒリヒリ辛いのです。
 
夫は辛いものが苦手です。
 
それでも作ってしまったものは、
ポジティブに食べてしまうしかありません。
チーズカレー イラスト 鈴木英すけ
 
チーズをかけました。
 
夫は「これ激辛?」と、聞くので
「3だから普通なんだけどね」
と、話すとがんばって食べてくれました。
 
2度目は「かける量を少なくすればいいよ」
「少しのルーで済むから経済的だね」
と、言いながら食べましたが、
まったく辛さは変わらないのです。
 
カレーは好きだからいつもは3回食べても喜んでいます。
 
かける量を少なくしたからぜんぜん減りません。
 
3度目からは会話がなくなりました。
 
ついに終わりになったときに、
夫は「このカレーのせいで喉がヒリヒリする、
鼻もおかしい、体がだるくなった!」
と、言って、まるで毒が入っていたように怒りました。
 
次ぎの日、夫は鼻水が出て、咳をしていました。
 
カレーを食べて体がおかしくなったのではなく、
風邪をひきはじめているのに、
カレーのせいで気がつかなかったのです。
 
辛いカレーにはこんな危険性もあることをお知らせしておきます。
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歯周病治療

島に住んでいると、
注文できない買い物はフェリーで海を渡るのです。
 
フェリーに乗って買い物することに慣れがないので、
ギリギリどうしても行かなければならなくなるまで
引き伸ばしていました。
 
行った時には、フェリーの時間に合わせ、
図書館に行ったり、
まとめ買いをするので忘れないようにメモに書き出したり、
 
荷物も大量で、まるで旅行に行くような緊張感と
プレッシャーを感じていました。
 
4月に歯ぐきが膨れ歯医者に行きました。
 
歯周病の初期だから歯周病の治療をした方がいいと奨められ、
一ヶ月に一回なら買い物のついでに受けてみることにしました。
 
予約制で待ち時間がなく、
衛生士さんが一時間つきっきりで検査や説明、
予防治療をするのです。
 
歯の治療とは違い、
進行しないようにするため歯周ポケットを小さくすることを
目指しています。
 
歯周ポケットの深さを1本の歯につき4箇所はかり、
歯磨き指導、歯石除去を繰り返しながら
その成果を確かめていきます。
歯の模型 イラスト 鈴木英すけ
 
一回目は歯周病とは、進行すると歯を支える骨がとけて、
歯が抜けてしまう怖い病気だと説明されました。
 
帰ってきてから夫に自分が聞いてきたことを
パンフレットを見せながら、歯周ポケットはここにあるから
ここを磨く必要があると力説しました。
 
3,4回で終わるだろうと思っていましたが、
今度で8回目なのですが、まだ終わりそうにありません。
 
でも、そのおかげで月に一回買い物に行くリズムがついて、
買い物が重荷ではなくなったので歯周病治療を続けています。
▲ エッセイ もくじ

近所の猫

朝、ろうかの窓の下で小さなニャーという声がします。
 
近所の人が飼っているメスの子猫
「きたよ、あけて」と、知らせるのです。
 
窓を開けると、さっと入ってきて
私と夫の足もとで交互に、でんぐりがえしを何度もします。
 
これはうれしさを表現しているらしいのです。
餌をねだる猫 イラスト 鈴木英すけ
 
そのあと、「鰹節ごはんちょうだい、台所に行こう」
と、ないて訴えます。
 
台所に歩き始めると、足元にからみついて足と一体となるので、
踏みそうでころびそうになりながら歩いていきます。
 
「ちょっとはなれて、ふんじゃうよ!」
と、文句を言いながら戻ってくると、
 
夫が「まるでピーターラビットの絵本みたいだ」と、言いました。
 
ニャーニャーと甘えて欲求したり、ビニール袋をかじったり、
夫の作品の上に乗ってじゃまをしたりします。
 
ありふれた日常の中に、絵本のような光景があるものですね。
▲ エッセイ もくじ
鈴木英すけブログ 写真集 奄美 加計呂麻島 喜界島 東京下町 九州 絵画 イラスト 水彩 アクリル画 ペン画 スケッチ 木工 人形 食器 家具 ワークショップ 絵の具 刺繍 粘土
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