2年前に島に帰るとき、置き電話から携帯電話に変えました。
それは普通の携帯電話より大きく、メールが打てず、
オープン通話でスピーカーから相手の声が
ラジオのように聞こえるものでした。
その変わった電話は、私たちにとってはとても便利だったのです。
たとえば、娘から電話があれば、二人で聞き、
電話に向かって夫も私も話し、3人で会話ができるのです。
電話のたびに「○○さんから、こんな話だったよ」と、
かいつまんで伝える必要がなくなりました。
なんだか不思議な感じがしました。
電話とは、
聞いている人だけにしか聞こえない秘密めいたものだったと、
初めて気がつきました。
そのような変わった電話であることは娘しか知りません。
家に電話をかけてくる人は、電話に出た人だけにしゃべり、
他の人に聞こえているとは思っていません。
そのことはちょっと申し訳なく思いましたが、
二人で聞いて悪い内容のことはありませんでした。
でも外や第三者がいるところでは困ったことになります。
友人の家に携帯電話を持って行ったとき、
娘から電話があり出ると
「お母さん、あのねー」という大きな声が、友人にも聞こえ、
慌てて「今、友達の家だから後でかけなおすから」と、言ったり、
休んだ先生の代わりに保育園にいるとき、
電話が鳴り「これから、よもぎ取りにいかない?」
という声がスピーカーから聞こえてしまうのです。
でも、ほとんど家にいる私たちにとっては、
二人で一緒に聞いて相談できることに安心感を感じていました。
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