馴染んでいない
島にきたのは1999年の2月です。
島の人に「島に来て何年か?」と聞かれ「15年目です」
と答えると、びっくりします。
そんなに長くいるように、思えないからです。 |
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行事やイベントは、もともと苦手でしたが、
最初は、いわゆる田舎暮らしを体験してみようと、参加しました。
でも、不器用な私達は、肝心なものを見失いそうになり、
徐々に引いていきました。
夫は、海のレジャーやスポーツ、釣りなどもしません。
お酒も飲めません。
来た当初は「なんで島にきたの?」と言われました。
狭間での暮らし
そう言われてもしかたないのですが、
私達は、ここで体験してきた数々のことに、感謝しています。
『海と陸の狭間で暮らしてみたかった』と、夫はよく言います。
陸は既知の世界、海は未知なる世界。
いいかえると、「顕在意識と潜在意識の両方を意識していたい」
ということなのだそうです。
狭間である浜辺の風景、波や岩や植物など、写真を撮り続けています。 |
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利点と問題点
私は、パン作りを、夫は、島の絵葉書、木で人形や食器、
自費出版などおこなってきました。
やってみようと思うことを、やってみられた分、
思い上がり井の中の蛙になってしまい、空回りしてきました。
それに、人口も文化的な刺激も少なく、
内的に創造的であろうとしなかった頃は、単調になってしまいました。
夫婦関係の変化
接触時間が増えたことで、
お互いの認識の違いが浮き彫りになりました。
私は、夫の人生観を理解していませんでした。
パンづくりも最低限にして、時には喧嘩になりつつも
膨大な時間をかけて、夫との会話をしてきました。
要約すると、私がうわべで見ていて、
本質を見ていなかったことに気づくためでした。
夫は、私の質問に辛抱強く答えてくれました。
それは、私達の人生にとって、ターニングポイントだったと思います。
新たな島との関係
その後、義母の介護のため4年間、島を離れました。
本質を変えたかったので、中断したことは、良かったと思います。
最初の島暮らしとは違う、人まねではなく、
自分のオリジナルな課題から目を逸らさないように
していきたいと思っています。 |
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