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ダブルバインド
イラスト 鈴木英すけぼくは自らの矛盾した願望に悩んできました。職場と家族、世間と自分の信じる生き方、いずれを選んでもどこかが崩壊してしまう、といった板ばさみの苦悩です。こうした無限に続くかに思えるジレンマから脱して、他者の目ではなく、矛盾のないシンプルな生き方をしたいと願ってきました。

そんな自己矛盾に苦しんできたぼくが、もっと早く知りたかったと思うのが、ベイトソンの著作、とくにダブルバインド(二重拘束)理論です。ダブルバインドとは、母子関係などで、矛盾した2つの命令を受け、身動きできない状態をいうのですが、さまざまな不条理な場面や板ばさみ状態などでヒントになる理論です。
久しぶりにベイトソンのダブルバインド理論を読み直して、重要だと思ったのは、前提としてそもそも人間のコミュニケーションには、いくつかのモードと論理階があり、その識別が自我の仕事だというところです。モードには「遊び」「非遊び」「空想」「神聖」「比喩」などがあり、それが本来は階層を同心円状に形成しているそうです。

例えば
「シグナル〔例――本気ジャナイ〕が、それによって分類されるメッセージ〔例――オマエヲ咬ムゾ〕よりも、高次の論理階型に属している」
こうした
「高度に抽象的でこのうえなく重要な『ラベル』の伝達を、人間はほとんど、姿勢、身振り、顔の表情、声の抑揚、文脈等の非言語的な媒体によって行なっている」
イラスト 鈴木英すけつまり「『自我のはたらき』とは、われわれの仮説によれば、いま自分の心が、あるいは他者とつくる場が、どのようなコミュニケーション・モードにあるのかを識別するプロセス、に他ならない」というのです。
ダブルバインドに陥り、「発作」を起こすところまで症状が進むと、やがて対人関係はひとつのパニックや憤激などのパターンに収まり、習慣化されると同時に、自我のはたらきが困難になるようです。

ぼくは、この理論の応用として、職業、家族、自分のしたいことなどを、バラバラで対立的な事柄としてとらえ、論理階型にせず、モードの割り当ても適切でないために、自分で勝手にダブルバインドに陥っていたのです。

今思うとそこに、人生を俯瞰するかのような霊的成長といった焦点が定まっていないために、物事に囚われすぎ、場当たり的な自己矛盾に苦しんでいたのでした。
参考文献
ベイトソン『精神の生態学』新思索社
関係と病理より
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